PMDDで「死にたくなる」前に‥PMDDの原因と症状、治療法について

pmdd

「生理前になるたび、死にたくなる・・」

アナタは「pmdd」を知っていますか?生理前にあらわれる不調はpms(月経前症候群)として知られていますが、pmsの精神症状がひどく重い状態をpmdd(月経前不快気分障害)といいます。

・生理前に、ひどく気分が落ち込む
・イライラして、周囲とうまくやっていけない
・情緒不安定になって、感情のコントロールができない

生理前にそんな「気持ちのトラブル」に悩まされているなら、pmddの可能性もあります。

うつ病の一種だと考えられているpmdd。その原因や症状、治療について、「何科へ行ったらいいのか」「そのまま放おっておいたらどうなるか」・・などをまとめてみました。

pmdd(月経前不快気分障害)とは?

pmddとは

生理前は、女性ホルモンバランスが大きく変化するため、女性なら誰でも不調があらわれやすい時期。生理前に心身にあらわれる不調はpms(月経前症候群)と呼ばれています。

「pmsは、生理のある女性の20~50%が悩んでいる」と言うデータもあり、pmsの症状の軽い人も含むと、生理のある女性の約8割が何らかの不調を感じているとも言われています。

pmsの症状

・体にあらわれる症状と、気持ちにあらわれる症状の2種類がある
・カラダにあらわれる症状・・頭痛、腰痛、食欲がとまらない、など
・気持ちにあらわれる症状・・イライラする、うつ状態になる、など

「イライラする」「ユウウツになる」「体がダルい」などはpms(月経前症候群)の典型的な症状ですが、「うつ状態になる」などの精神症状があまりに重く、日常生活に支障がでるほどになると、pmddの疑いがあります。

pmddの症状とは

pmdd(月経不快気分障害)とは、pmsの症状(なかでも精神症状)が重く、生理前には普通の生活をおくれないほどの状態のこと。

pmddは1994年に診断名が決まったばかりの「新しい病気」なのですが、pmddで悩む女性は意外と多く、「生理のある女性の5%が悩んでいる」というデータもあります。

pmddはpmsと同じく、生理周期にあわせて症状がでます。生理前に症状があらわれ、生理が終わると症状が解消されていくのがpmddの特徴。この点がうつ病との大きな違いです。

【pmddの症状の特徴】

・うつ病に匹敵するくらい重い精神症状があらわれる
→ひどいうつ気分(ブルーな気分)になる
「ユウウツで仕方ない」「何もかもがつまらない、何もしたくない」

 

・絶望的な気持ちになる
→自己卑下感におそわれたり、漠然とした不安感が止まらなくなる
「自分はダメ人間」「自分には何の価値もない」

 

・はげしくイライラする、情緒不安定になる
→急に怒りだしたり、泣き出したり、感情のコントロールができなくなる
→人間関係・社会生活がうまくいかなくなることも

 

・集中力が落ちて、ひどく疲れやすくなる
→気力も集中力がなくなり、仕事や家事ができなくなる
 

【pmddの身体的症状】

pmddは重い精神症状がでますが、カラダにもその影響があらわれるケースも。pmddの身体的症状には以下のようなものがあります。

 

・1日中眠くて仕方ない(睡眠の障害)
→昼でも夜でもとにかく眠い「過眠」状態になる
→逆に「不眠」になることケース、「昼は眠いのに夜は不眠」というケースも

 

・過食してしまう(食欲の異常)
→異常に食欲がでて、甘いものや炭水化物などが異常に食べたくなる
→逆に食欲不振になるケースもあります

 

・「からだが膨らんでいる」感じがする
→「体が膨らんでいる感覚」は、pmdd特有の症状
→他にも乳房の圧痛、頭痛、関節痛、筋肉痛などがあらわれることも
 

pmddの女性は普段、何のトラブルもなく生活をしています。
でも生理前になると一転、うつ病の患者と同じくらい重い精神症状があらわれ、毎日の生活にも支障がでてしまいます。

pmddの「うつ状態」は生理前だけですが、「うつ病」に匹敵するほどの重症度なので、米国精神医学会では「特定不能のうつ病性障害」に分類されています。pmddは、海外では「うつ病」の一種として診断されている病気なのです。

・pmddの診断基準について
>pmsかも?と思ったら・・3分で出来るpmsチェックリスト

pmddの診断基準としては、米国精神医学会が作った「pmddの診断基準」が引用されます。上の記事に「pmddチェックリスト」があるので、診断のご参考に。

pmddの原因って?

pmddの原因は、「女性ホルモン原因説」「メラトニン原因説」「神経伝達物質異常説」など諸説ありますが、まだよくわかっていません。

いま最も有力な説は「セロトニンの不足が原因なのでは」という説。ちなみに「うつ病」の原因も未だ解明されていません。

pmddの原因は解明されていませんが、「pmddを発病する前に、pmdd発病の引き金を引いた原因(出来事)があることが多い」と言われています。

要するに「ある出来事がきっかけとなってpmddを発症することが多い」ということ。

pmdd発症の引き金をひく可能性のある出来事

・家族との死別
・本人や家族が病気になること
・親の再婚
・入学、落第、留年、退学
・就職、転職、一人暮らしを始めること
・結婚、出産、別居、離婚
・引っ越し、家の購入、改築

このような出来事(ライフイベント)が、pmdd発病の原因になる可能性があると言われています。

家族との死別や病気、離婚などがpmddの誘因になるのは納得がいきますが、結婚や出産、家の購入など、「おめでたい」と言われる出来事が原因になることもあるのです。

pmddで病院へ‥どんな治療をするの?

pmdd 病院

pmddは、病院で治療できる病気です。生理前のたびに、生活に支障がでるほど症状が重い状態なら、早めに病院で適切な治療を。

pmsなら受診する科は「婦人科」「女性外来」になりますが、pmddの疑いがあるなら精神科の受診を。pmddに詳しくない医療機関もあるので、受診前に「pmddも診察しているかどうか」と電話で確認するのがベター。

病院でのpmdd治療は、主に抗うつ薬などによる「生物学的治療」が行われます。
治療に使われる薬などについて見てみましょう。

pmddの治療に使われる薬とは

pmddの治療に使われる薬は、「抗うつ薬」「精神安定剤」「低容量ピル」「漢方薬」の4種類。なかでも抗うつ薬による治療が主に行われています。

 

・抗うつ薬

pmddを治療する薬として「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」という抗うつ薬がよく使われます。

SSRIは抗うつ薬ですが、pmddやうつ病の治療だけでなく、パニック障害や強迫性障害など、不安障害の治療や、片頭痛の予防、過食症の治療などにも使われます。

日本で認可されているSRRI

・フルボキサミン(商品名:デプロメール、ルボックス)
・セルトラリン(商品名:ジェイゾロフト)
・パロキセチン(商品名:パキシル)

SRRIで起こる可能性のある副作用は、吐き気や下痢、眠気や不眠、頭痛、イライラ感など。副作用は1週間ほどでおさまることが多いのですが、いつまでも副作用がおさまらない場合は医師に相談を。

 

・精神安定剤

抗うつ薬以外では、ベンゾジアゼピン系抗不安薬(精神安定剤)が処方されることもあります。具体的に言うと「アルプラゾラム」(商品名:コンスタン、ソラナックス)など。

pmddへの効果が認められていますが、ベンゾジアゼピン系の薬にも副作用のリスクがあります。眠気やふらつきを感じることもあるため、服薬したら車の運転などはできません。

 

・低用量ピル

低用量ピルとは、女性ホルモンに似た合成物質が含まれたホルモン剤。ホルモンバランスの波を穏やかにする作用があるため、pmsの治療によく用いられている薬です。

pmddの治療でも低用量ピルが使われることもありますが、ピルだけではpmddの重い症状を十分にカバーできないケースも多くあります。

pmddは、神経伝達物質「セロトニン」不足が一因だと考えられている疾患。そのためホルモン剤であるピルよりも、抗うつ薬による治療が多く行われているようです。

・低用量ピルの種類や効果、副作用などについて
>pmsにピルは効かない!?気になるピルの、ホントのところ

 

・漢方薬

pmsの治療には漢方の薬が処方され、改善効果も認められています。

pmsによく処方される漢方

・加味逍遥散(かみしょうようさん)
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

漢方で軽度のpmddが緩和されるケースもありますが、個人差が大きく、あまり改善効果がみられないこともあります。

いずれにせよ漢方の薬は、個人の体質や症状にピッタリあう処方が重要。漢方での治療を考えているなら、漢方専門の病院の受診がおすすめです。

pmddをそのまま放置しておくと、どうなるの?

「もしかして私、pmddかもしれない・・」

そう思いながら病院にも行かず、そのまま放おっておくと、どのようなリスクがあるのでしょうか。どんな病気になる可能性があるのでしょうか。

pmdd女性が抱えるリスク

・pmddの女性は、「うつ病」にかかる可能性が高い
・出産のあとに起こる「産後うつ」になりやすい
・最悪の場合、自殺してしまうリスクもある

必要以上に心配するのも問題ですが、「うつ病、pmddは自殺をするリスクのある病気である」との認識を。適切な治療で、pmddの症状は多く緩和されます。

20人に1人は悩んでいる?実は身近なpmdd

pmdd

pmddの原因や症状、病院での治療や薬などについて見てきました。

pmddとは
・pmsの精神症状が重く、日常生活が送れないほどの状態のこと
・米国精神医学会では、うつ病の一種とされている

pmddの症状
・ひどくユウウツで絶望的な気分になる
・イライラして情緒不安定になる
・集中力も気力もなくなる
・過眠・不眠などの睡眠障害、過食・食欲不振などの身体症状も

病院での治療について
・主に抗うつ剤による生物学的治療が行われる
・抗うつ剤のほか、精神安定剤、ピル、漢方の薬などが処方されることも

pmddは、生理がある年齢の女性のおよそ5%が悩んでいると言われています。5%といえば・・20人に1人は、pmddに悩んでいるという計算になりますね。

これだけ確率の高い病気でありながら、pmddの認知度は低く、pmddに悩む本人ですら、知らないことも多くあります。知らないまま、生理前のたびに、ひどいウツ気分とイライラに苦しんでいるかもしれません。

「pmddを治療したいけど、精神科って何だか行きづらい・・」
そんな場合はまず、pmddのしっかりした知識を持つこともひとつの手です。

pmdd

「月経の前だけうつ病になってしまう女性たち」
山田和男著/講談社健康ライブラリー

こちらの本はpmddについて具体的に解説しているので、詳しく知りたい方は一読の価値あり。この本では抗うつ薬(SRRI)による治療が推奨されています。

「家族(夫)にpmddのことを理解してもらいたい」という場合、理解してもらいたい人にこの本を手渡して、読んでもらうのもアリ。自分で説明するよりも説得力があるしね。

知識を得ること。自分自身と症状を受け入れること。周囲にも理解してもらうこと。そうすればきっと、自ずと道は開けていくはずです。
 

執筆者:さつき